ババオの電話は、激しい痛みのせいか内容は支離滅裂で、まさに錯乱状態。
ババオは新しい人間に生まれ変わってしまったのだろうか…。
5/4（火）の電話は12回
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午前中の電話はとても落ち着いていた。
「本当に良い病院で、よい看護師さんで本当にありがたい」と。
看護師さんの名前もあげて、その看護師さんがとても優しいと喜んでいた。昨日の《こんな病院にはいられない。今迄で一番よくない。》と言っていたことは全く覚えていないようだ。
だが、午後になると様子が一変する。
突然訳のわからないことを言い始める。
「部屋に、たくさん人がいる」
（個室なのでいるはずがない）
「さっき、他の人を看護師さんと一緒に助けにいった。」
そして、
「今から家にタクシーで帰る。でも、お金を持っていないからどうすればいいかしら。」
「これから行くわね。で、どこで待っていればいいかしら…？」
極めつけは
「もうこんないかがわしい所にはいられないっ」
電話を代わったムスメには
「今新宿にいるの」と言ったそうだ。
そうかと思ったら、
「今日はホテルにとまります」
「お夕飯をたべそびれちゃったから、これからサンドイッチを頼みます。」
たぶんホテルにいるつもりなのだろう。
一番困ったのは、
「テレビをつけたら、テレビ番組で私のことを悪い人だって言っている。」と涙声で訴える。
「そんなことないよ、皆ババオのことは大好きだよ。」といっても
「そんな事ないっ！、皆そう言ってた。」とワナワナしている様子だ。
部屋は個室だ。それはＰＣＲ検査の陰性が確認できるまでは個室にいなければならない規則だからだ。
なので陰性が確認出来たら、4人部屋に移してもらう約束でいた。
しかし、こんな大騒ぎをしていたら、部屋の他の人に迷惑になる。これはこのままこの個室にいるしかないかもしれない、と思っていたところに病院から電話があった。
【病院からの電話の要件は2つ】
①2回のＰＣＲ検査と抗原検査は全て陰性の報告
②部屋の相談。
本来であれば4人部屋にお移り頂くことになるが、今のババオさんの状態だと声を出したり叫んだりするので、出来れば落ち着くまで、個室にいて頂けないか。
費用がかかるので、病院からはお願いベースだ。しかし、これは勿論了解だ。
病院で診てもらえるだけでもありがたいのに、これ以上迷惑はかけたくない。二つ返事で「ＯＫ」する。こちらこそよろしくお願いします、だ。
ババオの今日最後の電話は、また「痛くて痛くて…」と訴えの電話だった。
看護師さんによると、「家に帰る」と行って動こうとしたらしい。よって、ベットに帯で足（手？）を固定されたとのこと。こんな状態で、ベットから転がり落ちたら大変だから仕方ない。
電話でババオに優しくなだめる。
「その帯はね、みんながババオのことを大切に思って、ケガしないようにつけてくれてるの。痛くならないようにつけてくれてるの。だから動かないようにね。」
ババオは理解できているのか否かわからないが、「うん、わかった」と大人しく聞いている。
深夜にも電話がかかってくるだろうか。
そう思うと、しばらくお酒は飲めない。
無事に手術が出来ますように。
