結局、ババオの食事の支度は、昼も夜も私がしている。
退院してからだからもう1年半近くだ。
退院直後からしばらく私が用意していたら、ババオは料理を全くしなくなった。
そして料理をしなくなったら、料理が出来なくなった。
何がどこに入っているのか、食材等の管理も出来なくなった。
このままじゃボケる一方だ、と思った私は、ババオに言った。
このままだと本当にボケちゃうから、自分で出来る事は自分でしよう、と。
ババオは悲しそうな顔をして、
「自分で用意するわ」と言った。
しかぁーし、結局一度も自分で用意していたことはない。
用意しないどころか、いつもお盆さえ出していない。
私が見に行くと、毎度何も無いままの台所が目に飛び込んでくる。
さらに、支度しないどころか、昼の12時と、夜の6時になると毎回必ず、私のことを呼びにくる。
要は口には出さないが、「食事の支度をしろ」と呼びに来るのだ。
私も用事があるから、時間ピッタリには行けない。
しかしババオは時間ピッタリに呼びに来る。これ、結構ストレスになる。
だから、「呼びに来ないでいいから。こっちから必ず行くから」と口を酸っぱくして言ってる。
しかしババオは今日も来た。必ず来るのだ。
更に私が「必ず行くんだから、呼びに来ないで。催促されているみたいだし…」というと、
ババオは「まる子ちゃんが忘れちゃってるんじゃないかと思って…」と言う。
「・・・」
「忘れるのは、ババオだろぉーーーーーっ!」
私は心で叫ぶ。
だが叫んだところで、結局直らないから無駄な労力は出来るだけ使いたくない。
これはあきらかに「やるやる詐欺ではないか」
そういえば、
「体操も、するする詐欺」
「デイサービスも、いくいく詐欺」
「食事も、作る作る詐欺」
「庭の掃除も、するする詐欺」…きりがない。
しかし私が不在の時は、自分であるものを冷蔵庫から出して食べているようだから、
出来ないことはないのだ。
だから私も出来るだけ食事時に出かけることにする。
明日も昼に歯医者の予約をとった。
詐欺には負けない。