介護

3/8③深夜もつらいよ…

ババオの迷走は、夜も容赦なく続く。

夜中の11時過ぎに扉がそぉっと開いて、隙間からババオがのぞく。
もうそれだけで心臓に悪いから止めて欲しいのだが…。

せん妄状態のようで、

二階に見回っている方がいらっしゃるんだけど…

そんな人、いないでしょ。もうみんな寝てるんだし…うちには、ババオと私と、夫とムスメしか、いないでしょ。他に誰がいるの?

いけない、いけない。 「そう、そう、いたのね~」と言わなくちゃいけなかった。でも、昨日は散々ババオに振り回されたから、もう疲れて思わず最大限のウンザリ顔で「いないでしょ。」と言ってしまった。

でも、ここでニッコリ、「そうだったの~それは大丈夫?大変だったね~でも心配ないよ~安心して~」なんで仏みたいな対応は、私には出来ない。
もう私も限界が近いのだ。

今日もババオに振り回されて、結局仕事も半分も終わらなかった。この先どうなるのか、もう考えたくもない…というマズイ精神状態に陥っている。

しかし、その5分後、再びドアがあく。
ぼけ老人は容赦ない。こちらのことなどお構いなしだ。
スゥっと10センチ位の隙間から覗くのは、本当にぎょっとするから止めて欲しい。心臓に悪い。

やっぱり二階に見回っている人がいらっしゃるんだけど、ちょっと見に来てください。

ババオの頭は本当におかしくなってしまったようだ。
もうそう思った方がラクだな、こりゃこりゃ…と思いながら階段を上る。
そして、二階に。

いったい、どこにその方がいらっしゃるのかしら?
え? どこにいるの? 

もう私も忍耐がプチっと切れてるから、言い方がキツイ。

…あっ、えっと…あれは…椅子だった…みたい。
ごめんなさい。でもいつも、まるこちゃんが見回りに着てくれるでしょ。

いや、ちがうでしょ。私の見回りにいく事と、今回の「見回っている人」の件は。そういう、とってつけたような誤魔化しは止めて欲しい。余計にイラっとくる。でも、もう出来るだけ、二階の滞在期間を短くしたい。

はい、今日はもうおしまい。人はいない。よかったよかった。
私はこれからまだお風呂に入らなくちゃいけないから、もう下にいくよ。
じゃぁおやすみ。夜中の階段は危ないから、もう下には降りてこないで。
と、そそくさとその場を後にする。

ほんと、もう今日は降りてこないで。
深夜に勘弁してくださいよ。もう疲れたよ。さあ、風呂はいるか。

寝るのは今日も1時過ぎだな。

明日はいい日になりますように。心から。

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